本は誰でも持っているアイテムのひとつ。だいたい形も決まっているし気軽に交換しやすいもの。物々交換システムの実験としてこれほど入りやすい入り口はありません。
懸念点は2つ。
1つ目はやっぱり人による価値観の違い。その人にとって素晴らしい本でも、他の人にとって素晴らしいかどうかはわかりません。例えばジャンプの最新号なんて、読んでいる人にとってはテンションあがりまくる一冊ですが、読んでない人にとってはちっともうれしくありません。かなり専門的な内容の本も同じことが言えます。でもそれを厳しくしすぎたら大衆的な本ばかりになってしまい、逆に交換するものがなくなってしまうかもしれません。その本の価値を誰が判断するのか。とてもむずかしい問題です。
そして2つ目はいつまでも持っていってもらえない本をどうするか。価値観によって不要な本を決めるのが難しいとしたら、同じ価値観の人が現れるまでどのくらい待てばいいのか。スペースが無限にあれば考えなくてもいい問題ですが、なかなか難しい問題です。最終的には長い間持っていかれることのない本を捨てるしかなさそうですが、できることならそれはしたくないと思います。
なにかいい解決法がありそう・・でも・・と、ついつい懸念点ばかりが先にたってしまいますが、とにかくやってみようよ!というのがこの野良文庫。ここではその開催レポートと、設置情報を掲載しています。
野良文庫を設置してみませんか?
この実験的な試みを是非あなたのところでも。野良文庫は棚さえあればどこにでも設置できるみんなの新しい概念です。「これが正しい」という方法はないはず。それぞれの場所にあったルールで実験してみましょう。
こちらで作成した看板をPDFにしましたので必要であれば使って下さい。
開催レポート
2012年6月4日(日)に宮崎県の綾町のお城で「和来市」という市場が開かれ、ここではじめて野良文庫が設置されました。最初は本が集まるかどうか不安だったものの、みんなたくさん自分の本を持ってきてくれました。最初と最後で本棚に並んでいる本が随分変わったように思います。特に文庫本はかなり入れ替わったりなくなったりしていました。
10巻セットの百科事典が来たらどうしようか…と心配していましたが、意外とみんないい本を持ってきてくれたのも印象的。変わり種としては地図帳ぐらい(笑)。関西の地図でしたが、確かに我が家にも旅行の時に買った地図とかあります。これは本といえるのかどうか?
そして嬉しかったのは出店料カンパ!合計373円投げ銭していただきました。金額よりも玉の数が共感の数だと思うと嬉しくて仕方がありません。
また、棚の脇に「一言」と書いた自由ノートを置いていたのですが、みなさん「持ってったよ」「ありがとう」「またやってくれたら持ってきます」などなど書いてくれていました。このノートも共有したいですね。Twitter・Facebookで情報共有するのもいいかもしれない。
当初の「たくさん本棚に本があふれてしまったらどうしよう」という心配をよそに、本はどんどん回転して残った数は大して変わらないのでした。「持ち込まなくても持っていってOK」としましたが、何か持ってこないと気がひけるのか一度家に帰って本を持ってきてくれる人もいました。なんと古本屋さんも来てくれて、なかなかさばけない本を置いて実験したりしていたようです(結果持っていってもらえたとか)。
本棚の前で出会う人達の会話が楽しかったのは言うまでもありません。「所有」という考え方をなくしてはどうか、という提案もいただきました。自分の家の本をここに移動するだけ。その本はあなたのものではなくみんなのもの。そう思えばなんか在庫問題も解決するのかも。ここはいらなくなった本の処分場ではないということ。結局意識の問題、なのかもしれません。
綾城に常設決定!!
和来市を開催した綾城内にある夢楽人(むらびと)館。ここにある「夢楽人の会」に温かく迎えていただき、なんと常設していただけることになりました。ものすごく静かな環境で本を読むのには最適な環境。すでに設置済みですので、綾にお越しの際は綾城の夢楽人館に立ち寄ってみてください。綾のグローバルビレッジさんによる素敵な本棚が休憩室の横に置いてあります。
他にも続々野良文庫登場中
宮崎県日南市の「ECOの本だな」。喫茶店「ていくあうとかふぇ 茶餐庁(ささんちょう)」にあります。(取組みが復活!)
hair salon フラリトさんにある「ふらりと文庫」(そう!名前は野良文庫じゃなくたっていいんですよ!)
※本棚を作った方は是非ここで紹介させていただきたいです。info@nora.asiaまで、写真と場所などをお知らせ下さい。