会場になった宮崎県の綾町は朝から雨。 この雨を「天気が悪い」と思うのか「恵みの雨」と思うのか。 実はそれこそがこの「春の天ぷら祭り」のテーマでもありました。
「この雨は恵みの雨ですから♪」
野村先生の言葉とともにすぐ近くの畑に散策にでかけます。
雑草がうっそうと茂っている畑。すぐ目につくのはヨモギやツクシ。実はそれ以外にもカラスノエンドウ、スズメノエンドウ、ゲシゲシ、スギナ、ヨメナなどなど食べられるものばかりでした。「これも食べられるの?」とみんな雨を忘れて草に夢中です。
希望者だけのつもりが結局みんなついてきた堤防。そこにはこの季節にしか食べられないイタドリ、ノイバラ、クズノメ、ノビルなどなど、畑とは違う草達がたくさん待っていてくれました。
1時間ほど散策したあと、公民館にもどってみんなで下ごしらえ。自分が天ぷらにして食べたいものをよりわけておき、それ以外は和え物などにするためみんなで種類別に分けていきます。
「食べられる」だけではなく中には「食べられない」「食べてはいけない」ものもあります。下ごしらえをしながら先生がいろいろと教えてくれました。
さっき「食べられる」と聞いて採ってきたものを半信半疑で天ぷらに。それぞれが個性的な風味をもっていて「おいしい」では言い表せないような春を感じました。
みんなで採ってみんなで準備した春のごはん。いつのまにか外も晴れ上がり、レンゲが咲くピンクの田んぼを眺めながら野草の天ぷらや和え物を楽しみました。
「自然を大切に」という言葉は便利に使われますが、本当に皆が同じ意識で自然と向かい合っているのか、疑問に思うことがあります。
みな「自然」が大好きです。でも決して「青空広がる緑いっぱいの自然」だけが自然ではなくこの日降った雨もやっぱり自然のはず。 雨は自然にとっては恵みの雨・・・分かっていてもピンと来ないのは自然を「見る」だけになってしまったからかもしれません。
野草を知ることで「食べる」という関わり方を思い出した時、自然の中に立った時の景色が変わります。
草花の芽吹き、大地に染みこむ雨、風に揺れるたくさんの小さな花たち。
「食べる自然」は癒しのような一種のエンターテイメントではなく、私たちにとってなくてはならないもの。 野草を通じて自然との関わり方を思い出し、本当の意味で「自然を大切に」と思える人達が増えてくれることを願っています。
Photo Report
企画・協力
ラクレストラン ロウ 郷土料理研究会 杢もく会
【写真】深見 博昭
あなたのところでも春の天ぷら祭りを
このイベントはより大きく盛大にしていくことが目的ではありません。小さくても全国いろいろな場所で行われるようになり、より多くの人が大切なものを見つめなおすきっかけとなれれば本望です。
是非あなたのところでも「春の天ぷら祭り」を。同じ名前でも全く構いません。その際このページが少しでも参考になれれば幸いです。チラシに使用したデータ等、必要なものがあればinfo@nora.asiaまでご連絡ください。
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