野良音

音が心に響く時。


9月9日の日曜日、宮崎市郊外の田んぼでコンサートを実施しました。

和太鼓・ロック・ジャズ・クラシック・ボサノバ・しの笛、そしてひょっとこなど、計8組が出演するジャンルにとらわれないコンサート。子供からおじいちゃんおばあちゃんまで幅広い年齢層で、のべ1200人以上の方々が田んぼに足を運んでくれました。

音は本来、風土の中で育まれてきたもの。世界中の音楽が音波となって届く今の時代、本当に心に響く音とは何なのか。

郷(さと)の音と書いて「響く」。

日本の原風景である田んぼの中で、心に音を響かせて欲しい。子供の頃に感じていた土や草のにおい、虫の声、稲穂のさわめき。頭で考えることなく、純粋に五感で音を心に響かせてほしい。

音が響く空間を郷(さと)にするために、商業的な要素を極力なくしました。参考にしたのは古来より大切なものを祀ってきた本来の「祭り」です。

入場無料。そして営利的な出店ではなく、おにぎり・豚汁・ポン菓子などのふるまいで来場者をもてなしました。ふるまいで足らない方はそれぞれがお弁当を持ってきてレジャーシートの上で思い思いのお弁当を味わっていました。

ゴミを極力出さないため、ふるまいが欲しい方は「マイ箸マイ椀持参」という形にしましたが、ほぼ全員の方が持参してくださり、帰った後の会場にはゴミといえるようなゴミは全く落ちていませんでした。帰り道に設置した募金箱に集まったお金は全部で23,481円。

きっとみんな同じ物を大切にしているから集まったんだと思います。ゴミを出さず余分なものを足さず素朴な郷(さと)の中で音を感じる本来の祭り。

午後17時、和太鼓で力強く勇壮に始まった祭りは、KIRIWAII(キリワイ)、PocoPocoBandと日が沈んでいくのとは裏腹に徐々に賑やかに楽しくなっていきます。

日没。かがり火が点火され闇が広がりだした頃、PocoPocoBandの演奏で登場したひょっとこ。いつものように楽しくておかしいだけではなく、影を落としながら時に妖艶な舞としてもみなを楽しませてくれました。

すっかり辺りが闇に包まれた後はcollectus(コレクタス)、中原千文(ソプラノ)+本田真奈美(ピアノ)、oone(オーネ)、しの笛の里一座の4組が童謡の「ふるさと」や民謡の「刈干切唄」などを響かせていました。

そして最後の演奏者。それはずっと演奏してくれていた虫の声。みんなで耳を澄まし風土に自然に流れる音を感じて静かに幕を閉じました。

駐車場まで続く田んぼの中の帰り道には、200本の灯火が揺らぎます。同じ時間、同じ場所で同じ音を心に響かせた人たち。音が郷に心に響き、心さえも音になった時間。虫の声、稲穂のさわめきに包まれながらそれぞれが感じたそれぞれに大切なものを持ち帰ってくれたことと思います。


天気が全ての「田んぼコンサート」

田んぼでコンサートという今回の試みは当然ながら天気がよくなければできません。田んぼのあぜ(農道)をステージに、田んぼの中が観覧席という設定。「雨天中止」としていましたが、当日が晴れれば大丈夫というわけでもなく、前日、前々日に雨が降れば水はけの悪い田んぼは水浸しになってしまいます(実は別会場の想定もしていました)。

開催日である9月9日(日)に向けて、1週間前の9月2日(日)の天気予報は水曜から全て雨。水曜に激しい雷雨が降って田んぼが水浸しになったものの、その後はまとまった雨が降ることはありませんでした。当日は奇跡的に清々しい青空。前日まで時折降った通り雨による水たまりをあの手この手で排水して無事開催することができました。

みんながやりたい、来たいと言ってくれているのだから絶対にやらなければならない。晴れると思えば晴れる!主催者一同そんな気合で乗り切った気がしています(笑)。


みんなの想いが集まってできたイベント

野良音は様々な快挙を成し遂げることができました。その中でも快挙と言えるのは助成金を使うことなく入場無料にしたこと。地元企業を中心に50社を超える方々がコンセプトに共感してくださり協賛に入っていただきました。

協賛金だけで開催できた理由として重要なのは1,000人規模のイベントとしては考えられないような低予算、45万という価格で開催できたことにあります。今回は8組のアーティストと司会2名という形で出場していただきましたが、みなコンセプトに共感して出場してくださった方々ばかり。スタッフも駐車場の警備6人以外は全てボランティアで実行。備品も多くは無償もしくは大幅に値引きしていただいたからこその低予算です。

会場外、会場内の当日の運営に力を貸してくれたのは「わけもん大学」「ドマクエ」「カムヤマト」など地域を盛り上げるために積極的な活動を続けているみなさん、そしてWEBなどを見て手をあげてくれた方々、総勢30名。一枚一枚手で刷った野良音特性Tシャツを着て会場の運営にあたっていただきました。

ふるまいの準備についても多くの方にご協力いただいています。

おにぎりは300名分といっても1人2コなのでなんと米2俵分。地元跡江のお母さん方がものすごい慣れた手つきで握ってくれました。豚汁も前日から仕込みに入り、当日は8名ほどの有志の方々が作ってくれました。普段飲食店を経営されている方、栄養士をされている方、野菜ソムリエの方などなど豪華な顔ぶれ。ポン菓子も地元の自治会長さんが持っている機械を使って作成。みんなで袋詰をしました。

多くの人の想いが集まったからこそ成し得た低予算。主催者だけでなく参加者も含め「想いさえあれば実現できる!」という自信につながるようなイベントになりました。


地域の想いを詰め込んだフライヤー

3つ折りでA4サイズになる形のフライヤー。フライヤーというよりパンフレットです。協賛いただいた方々の様々な想いが4面に敷き詰められています。 今までの広告は、隣の枠の広告を蹴落とすように競り合い「とにかく目立とう」という広告でした。そしてその内容のほとんどがモノやサービスの紹介。でも今みなが求めているのはその裏にある、その人の人生、こだわり、心、想い。

「地域には想いがある」

このフライヤーを手にとってくれた方々がそんなメッセージを感じ取ってもらえたら幸いです。そしてこの広告の形が一般化していけば、もっともっと地域は地域で元気に循環していく気がします。


本来の祭りを!(出店について)

本来の祭りに「お客さん」はいません。祭りはみんなで作るもの。お金があれば何でもできる便利な時代、お金さえ払えば何をしてもいいという一方通行の関係がいろんな大切なものを見失わせている気がしてなりません。

お客さんがゴミを出し、主催者側が片付けるという関係もそのひとつ。

「いらっしゃいませ!」などの呼子の声、発電機の音、そして田んぼの中で発生する大量のゴミ。食欲を満たすことと引き換えに、かなり多くの大切なものを失ってしまいます。

私たちが大切にしたいのは郷(さと)の中にある音。

音が心に響くのは、ただ楽しくておいしいだけの祭りではなくしっかり心に響く本来の「祭り」であるべきです。「お客さん」が存在しない、すべての人が参加者であり主催者の本来の「祭り」。遊びに来るのではなく参加して欲しい。「お客様」という存在をなくす意味でも入場無料。そして商業的な出店ではなく、あくまでふるまいに徹しました。主催者だけがゴミを出さない努力をするのではなく、みんなでゴミを出さない努力をしたい。

本来の日本の原風景に本来の祭り。そこに響く音、土のにおい、虫の声、稲穂のさわめき。 お金を持たず駆け回っていた子供の頃のように、純粋に音を楽しんでもらいたい。一緒にこの風景を心で感じ、大切にしていきたい。そうしてみんなで作った時にはじめて心に響き、「地域の誇り」にもなるのだと思います。


ふるまいの食材について

お米、そして豚汁などで使用したふるまいの素材は県内の生産農家の方が無償で送ってくれたものです。

米・・・・21世紀跡夢会

豚肉・・・永峰養豚場

えのき・・加藤えのき

味噌・・・福富農産(fukutomi farm garden aya)

里芋・・・宮崎アグリアート

椎茸・・・渡川山村商店

みんないろんな想いが込められている食材です。そのひとつ、霜降り椎茸を送っていただいた渡川山村商店さんからの熱い熱いメッセージを以下ご紹介させていただきます。

野良音実行委員会様

はじめまして。美郷町南郷区(旧南郷村)渡川(どがわ)地区で地域の価値を見出すべく活動しています、渡川山村商店と申します。

 この度は『野良音』開催おめでとうございます。本番まで数日と迫り、執行部の皆様におかれましてはご多忙中と思います。本当にお疲れ様です。

 この『野良』の活動を知ったのは松本さんがきっかけなのですが、田舎育ちで自然と共に暮らしてきた、そしていまもそれを守りたく想う私としては、本当に共感できる活動です。何より、どこかに頼るのではなく、「想いがあれば自分たちでやる」というスタンスが最高です。私も地域を盛り上げようと『渡川ONE(どがわん)』という団体を仲間と共に行なっておりまして、小さいですが志は大きく地道に頑張っております。 ※ホームページ(http://dogawa-one.jimdo.com/)もありますので是非チェックしてみてください!

 お約束しておりました乾燥椎茸を送ります。生換算で2キロという事でしたので、乾燥で1キロ程度あれば十分かなと思いましたが、足りないといけないので1.5キロ送ります。大きい袋が1キロ。150g入った小さな袋を4つ入れておりますので、お好きにお使い下さいませ。

 当日は友人を連れて参加したいと思っております。本会の御盛会を心より願っております。

※一番おいしい出汁の取り方を書いた紙を入れておきますので、是非お試しになってみて下さい♪

渡川山村商店 代表  今西猛



Movie


Photo Report


出演アーティスト・司会

和太鼓一座 天響

平成14年結成。清武町加納在住。信念は「礼儀無き者太鼓を叩く資格無し」。メンバー10名で県内外にて活動。「人の心に響きを与え、天まで響け」という気持ちで聞かせる太鼓だけではなく、観客と一体となり楽しめる太鼓を叩ける様日々厳しい練習に励む。


POCOPOCOBAND(ポコポコバンド)

2009年結成。7人編成から成る、打楽器、笛、ラップが特徴的な超南国SOUND!宮崎県を拠点に九州全域のライブハウス、イベント、祭り等でライブ活動を行っている。2011年には宮崎市で開催された2つの音楽大会イベントで共にグランプリを獲得。2012年、DONAVONFRANKENREITER来日ツアーにてオープニングアクトとして出演。本人達曰く、宮崎の独特な時間の流れを感じて頂けたら幸いです。素敵な時間と空間をお届けします!!2012年7月に1stアルバム『毎日がエビデイ』をリリース。


中原ちふみ(ソプラノ)・本田麻奈美(ピアノ)

本田麻奈美(ピアノ):2009年よりウィーン・プライナー音楽院に留学し、在学中に学内オーディションを経てオーケストラと共演。現在、後進の指導にあたる傍ら、演奏家として活動している。
中原 ちふみ(ソプラノ):宮崎市出身。1997年~2000年イタリアに留学。イタリア滞在中は、フィレンツェのドゥオモ合唱団に所属し、教会でのミサやコンサートに加え、地方公演にも参加する。宮崎市を中心に県内外でソロ、アンサンブル、オペラ等幅広く演奏活動を行っている。


KIRIWAII(キリワイ)

宮崎市を中心にライブ活動を行っている。3人編成から成り、紡ぎ出されるその音は、bluse funk psychedelic DUB reggea hiphop jazz pop cofein beer american spirit にとどまらず、オリジナルという言葉で表現され、聴くものを魅了し続けている。6月で7回目を迎えた宮崎市のライブハウスで開催されている 『ROCKETS』 主催。毎回その内容は渦を大きくしており、宮崎の音楽シーンで注目されているイベントの1つである。


跡江ひょっとこ同好会

ひょっとこ踊りは江戸末期から明治の初期にかけて日向市にて誕生したと言われている。現在は商売繁盛、豊作を祝う踊りとして宮崎県を代表する踊り。跡江ひょっとこ同好会は現在19名で活動、生目地区はもとより、宮崎市内外でも公演し、そのユーモラスなリズムと踊りで見る人すべてに笑顔と幸せを届けている。


collectus(コレクタス)

ギター、ベース、ドラムス、パーカッションの4人組。何処にもカテゴライズ不可能なjamバンド。ただ、サウンドはいつも温かくドラマティックでダンサブルと思いきや、時には牧歌的でトリッピーに。今回はどんな音が飛び出すやら。


oone(オーネ)

2011年結成。夫婦(hydda&Ryra)で宮崎を中心に活動。ハープの音に合わせたやわらかな唄。ジャンルは多様。ボサノバ、童謡、子守唄、pop, etc....。Ryraは絵描きとしても活躍中。(世界万博エントリー)作詞に込めた想いは、ひとりひとりが自分らしく生きることをメッセージに!! 自分らしい音楽を贈ります。 〜LOVE SMILE FOR YOU〜音を一緒に楽しみましょう!!


しの笛の里一座

‘06年春「しの笛の音色は日本人の心の故郷。しの笛を宮崎から全国に広め、自分本来の心を取り戻し、ユートピアを築きたい」と決心。しの笛教室を開始し、同年秋しの笛の里一座を結成する。出演回数は年40回を超え、関東関西にも活動を広げている。


司会:DJ JOE

宮崎サンシャインFM(若草イブニング)、JoyFM(昼時歌謡パラダイス)などのラジオパーソナリティを務める。本業はピーマン農家。


司会:日高千明

MRTラジオSCOOPYリポーター。ラジオカーに乗って県内各地から旬でコアな情報をお届けしています!宮崎大好き☆はんぴどんの里跡江出身!!




協賛



WEB協賛


特別協賛

㈲永峰養豚場 ㈲加藤えのき 渡川山村商店 ㈱富士薬品宮崎営業所 おそうじごはん 落合秀平 南祥夫 堀内ミキ子 川上健太郎


後 援

跡江自治会 生目土地改良区 生目地区振興会


協 力

跡江基盤整備事業 跡江財産管理組合 跡江ライフアイプロジェクト はんぴどんの里古墳祭実行委員会 JA宮崎中央青年部生目支部 宮崎県SAP会議連合 跡江百人会 21世紀跡夢会

【準備・当日会場運営】
永山 裕人 時枝 明日香 本田 郁弥 深田 崇弘 加藤 悠司 寺島 史郎 上原 唯 渡会 早希 今村 理香 永山 雄一郎 坂東 春奈 坂口 亮介 河野 知佳 戸越 正路 黒木 逸子 脇田 智生 児玉 祐子 関 将志 川口 千尋 木村 太志 飯干 謙太郎 日高 文誉 吉野 あやこ

【写真】
深見 博昭 金丸 洋 原井 静香

【ふるまい】(豚汁)
井上 彩 竹下 亜梨沙 佐澤 亜紀 崎田 さおり 松本 悦子 那須 順子 大角 恭代 他2名

【ふるまい】(おにぎり)
跡江女性ボランティア

【ふるまい】(リゾット)
コスモスSAP 5名

【ふるまい配布】
JA青年部7名 跡江女性ボランティア 平坂 麻紀 對喜 美香 前田 美保

【飲料販売】
鈴木酒店 跡江百人会

【会場警備・テント・ステージ設営】
跡江消防団、宮崎県室内装飾事業協同組合青年部

【打ち上げ】
RAKU RESTAURANT RAW

【会計】
吉田 晶子 原村 裕子


主 催

野良音実行委員会 問い合わせ先:info@nora.asia


会計報告

収入の部
チラシ協賛A枠 320,000
チラシ協賛D枠 50,000
その他協賛金 75,000
WEB協賛キョウサン 7,000
追加匿名協賛 22,000
収入総計 474,000
支出の部
警備 49,770
スポット×1、看板×11、かがり火×2 21,000
印紙代 2,400
チラシ印刷代 97,000
ポスター印刷代 A2×30枚 9,900
音響機器レンタル代 30,000
ガソリン代 2,900
雑費:地元説明会お茶代 650
雑費:打上げ氷代 674
雑費:アウトドア、日用品、電気、文具 1,739
雑費:木材、接着剤、金物 2,238
出演者交通費 5,000×9、10,000×1 55,000
発電機 8,000
発電機燃料代 5,500
トイレレンタル 16,800
トイレ汲み取り 5,050
駐車場使用料 14,992
ステージ設営(コンパネ、杭) 18,692
ステージ設営(番線等) 1,938
ステージ用布代 11,550
ステージ用ボール紙代 441
バルーン照明 10,000
ふるまい経費 21,681
ふるまいガス代 3,000
打上げ食費 30,000
地元協力者への御礼 30,000
スタッフTシャツシルク版 2,600
支出総計 453,515
繰越金(収入総計―支出総計) 20,485

開催3ヶ月前からずっとにらめっこしていた予算。最終的には開催の1週間前や当日などに追加で22,000円ほどご協賛いただいた分がほぼ余ったような形になりました。

しかし3ヶ月前から準備してきた委員会スタッフのガス代は金額が不明瞭なため支払っていません。今回は初回ということもありますが次回からは予算として計上できるよう努力したいと思います。

また当日販売したドリンクについては、売上107,150円-仕入れ81,024円で26,126円の利益が出ました。会場に設置した二つの募金箱には合計23,481円の募金があり、上記収支とあわせて合計70,092円の繰越金となります(20,485 + 26,126 + 23,481)。

今回ドリンクは赤字になるかもしれなかったこと、募金は全くの未知数だったため予算としては組み込めませんでしたが、次回からは今回の結果を踏まえながらこの繰越金を活かす形で行いたいと思います。


あなたの郷(さと)でも野良音を!

このイベントはより大きく盛大にしていくことが目的ではありません。小さくても全国いろいろな場所で行われるようになり、より多くの人が大切なものを見つめなおすきっかけとなれれば本望です。

そのため、もし共感していただけたら是非あなたの郷(さと)でも野良音を実行してください。その際このページが少しでも参考になれれば幸いです。

今回使用したロゴデータを提供いたしますので必要であれば活用して下さい。著作権は放棄しませんが、非営利目的であればどなたでも無料で使用可能です。開催の際ご一報いただければ野良!のページでも紹介させていただきます。